2010年3月27日土曜日

闘病生活・回顧編  『元気なおしっこ』

下記の闘病生活・回顧編を書いた頃は、

おそらく退院してから

1年ぐらい経っていたと思います。

まあ、ほとんど今の状態と変わりません (^_^;)

少し長いブログですが、どうぞおつきあいを・・・



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それは、平成16年の4月の終わり頃のことだった。

私は、体調を壊して4ヶ月もの間、休職していた。

病名は、

『ウイルス性脳炎(ヘルペス?)』(診断書の原文ママ)

医者にも、本当の原因はわからないが、

なんらかの形で、ウイルスが髄膜(ずいまく)を超えて、脳にまで達した。

そう診断された。

入院した期間は、ちょうど50日間。

その最初の2週間ほどは、私は意識がない、

全く記憶がない状態でした。

入院した当初、主治医から、

「意識が戻っても、言語障害が残る恐れがある」

と診断されていた。

意識が戻り、幸いにも言語障害は出ませんでした。

しかし、意識が戻ってからも、

立ち上がれない、足が時々ケイレンする、

目は黒い飛蚊がでている、

耳は、ふさがったような、

こもるような感じがあり、聞こえにくい。

そして、おしっこが全く出ない、

という状況でした。





おしっこが出ない!

これが、なかなかやっかいだった。

どんなに膀胱におしっこがたまっても、一滴も出ない。

おしっこを出すため、導尿(どうにょう)といって、

おちんちんの先から、やわらかいカテーテル(管)を通していき、

膀胱の中まで入れていく。

すると勝手に、おしっこが流れ出てくる。

こんな導尿を1日に数回しなければならない。

普段は看護師さんに導尿してもらうのだが、

「自己導尿」といって、

自分ひとりで導尿することができなければ、

退院許可が出ないうのだ。

男性にとって、こんな恐ろしいことはない。

本当に怖かった。

カテーテルに麻酔薬入りのゼリー(キシロカインゼリー)を塗って、

ゆっくりと挿入していく。

なので思ったほど、おちんちんの中に管を入れるのは、痛くない。

しかし、膀胱の境目の筋肉を通る時の不快感は、

思わず『うっ!』と声をあげてしまう。




結局、おしっこが出るようになったのは、

退院してから、ちょうどひと月立った

7月11日の夜中(12日の早朝)だった。

夜中に、おしっこに行きたくなって、目が覚める。

自力でおしっこをする訓練のため、すぐに導尿をしない。

いつものように、しびんをあてて、しばらく待つ。

漏れそうなくらい尿意があるのに出てこない。

やはり今日もダメなのか?・・・

あきらめかけたその時だった!

チョロリとおしっこが、出てきた。

「え!今、出たんと違う?」 

またチョロリと出る。

やはり、出た!

チョロ、チョロ、チョロ!

出た、出た、出た!!

勢いも弱い。

しかもとぎれとぎれ。

でも、今まで全く出なかったおしっこが、

自力で出すことができた!

やっと、社会復帰に希望が出てきた瞬間だった。





それから、少しずつおしっこが出るようになり、

導尿の回数を減らしていくことができた。

今は、もちろん導尿はしていない。

しかし、まだ完全という訳ではない。

昔は、いつでもおしっこが出せた。

しかし、今は尿意があっても、すぐに出るとは限らない。

実際、その秋の定期健康診断の検尿で、

おしっこがでず、理由を説明し、

あとから持っていったぐらいである。

でも、今ではちゃんと『元気なおしっこ』が出るようになった。

やったぁ。




退院して、おしっこが出はじめるまでが、一番つらかった。

歩けるが走れない。

目にゴミが浮いて見える。

耳がふさがったように聞こえない。

おしっこがでない。

導尿による嫌な痛みが、おちんちんに走る。


しかも、勃起しない!


貯金はない。

結婚もしてない。

職場にも迷惑かけている。

死にたい・・・

そう思った。

どちらかといえば、『死にたい』なんて人がいれば、

1時間でも2時間でも説得し、思い止まらせそうな私がである




そう思うと、

『今まで俺は、本当に相手のことを思って相談にのっていなっかたのでは?』

とさらに落ち込んだ。

『まるで負け犬じゃないか!』

『いや、犬ならまだ、いつでもおしっこ出るぞ!』

『俺は負け犬以下なのか?』

そこまでとことん落ち込んで、落ち込んで、

今、立ち直ることができたのは、

やはり家族であり、職場の同僚であり、友人のお陰だった。

そして一生懸命診察していただいたドクターであり、

やさしく看護してくれた看護師さんである。

『親より先に死ぬのは、親不孝だぞ!』

『これだけの人に心配され、励まされ、勇気づけられたんだ!』

『俺は、絶対死ぬわけにはいかない!』

そう思い直し、どん底から、はい上がってきた。

おかげさまで、無事に職場復帰し、

あいかわらず、ドタバタした毎日を過ごしている。

仕事嫌いの私だけど、その時、心底思った。

『元気に働けることは、なんてすばらしいことなんだ!』

みんな、ありがとう。

感謝!

     (完)



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みんな2年間ありがとう!

(^_^)ノシ
 

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